今回のテーマは、「硫化水素の性質」です。

前回は、硫化水素の製法について学習しましたね。
硫化水素は、硫化鉄（Ⅱ）と希硫酸の反応によって得られるのでした。
このような反応を、弱酸の遊離といいましたね。

さて、今回は、硫化水素の性質に注目しましょう。
大きく３つの性質を紹介していきます。

まずは、１つ目です。
硫化水素は、無色で腐卵臭のある気体です。
腐卵臭とは、文字通り「腐った卵のような臭い」のことです。
この臭いは、実は、みなさんが温泉に行ったときに感じるものなのです。

２つ目の性質は、水に溶かすと弱酸性を示すことです。
このときの状態を式で表すと、次のようになります。
　H₂S⇄H⁺+HS^-
　HS^-⇄H⁺+S^2-
H⁺が発生しているので、酸性を示すことがわかりますね。

３つ目は、強い還元性をもつことです。
反応式で表すと、次のようになります。
　H₂S⇄2H⁺+S+2e^-

酸化還元反応については、酸化数に注目しましょう。
硫黄の酸化数は、-2→0と変化していますね。
自身が酸化されるということは、相手を還元することになります。
そのため、硫化水素は還元剤として作用していることがわかりますね。

以上、３つの性質を押さえておきましょう。