生物多様性 という言葉を耳にしたことがありませんか？地球上に様々な種の生物が存在していることを指す言葉ですが、なんとなく重要なものというイメージはあるかと思います。

生物多様性の重要性を理解するために、まずはわれわれヒトが生態系から受けている恩恵について紹介しましょう。

写真の左側２つは、私達に恩恵を与えている生態系の例の写真です。

森林 は降った雨を根・土壌に蓄えて、徐々に川へと地下水として放出していきます。一度に大量の雨が降っても、森林が一旦水を蓄えてくれるおかげで、河川は氾濫せずにすむのです。つまり森林は ダム の役割を果たしているということになります。

サンゴ礁 があると波が海から押し寄せてきた時、サンゴ礁に波があたることで波の強さが減衰していきます。波が減衰すると陸地の波による侵食が防がれます。つまりサンゴ礁は 防波堤 の役割を果たしているということになります。

森林やサンゴ礁のように 生態系が与えてくれる恩恵 のことを 生態系サービス といいます。

ヒトは常に生態系から恩恵を受けています。普段の生活ではなかなかその恩恵に気づきにくいですが、生態系が失われた時に初めて受けていた恩恵に気づくのです。

生態系が一度失われると、元に戻すのが非常に困難であったり、失われたまま戻ることがなかったりすることがほどんどです。生態系サービスを人工物で取り戻すのには非常に大きな費用がかかります。つまり、今ある生態系を保全することは非常に重要なのです。

そして、生態系が撹乱された時、生態系が復元するためには生物多様性がカギを握っています。生物多様性が重要だといわれるのは、生態系を維持するためにこそだったのですね。