5分でわかる!転写
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この動画の要点まとめ
ポイント
DNAは、2本のヌクレオチド鎖が水素結合によって結合しています。
転写は、DNAの水素結合が切られるところから始まります。
DNAの水素結合を切断する酵素は、ヘリカーゼです。
DNAの複製のときにも、最初にヘリカーゼがDNAの水素結合を切断しましたね。
プロモーターをもつアンチセンス鎖が鋳型に使われる
DNAの水素結合が切断された後、どのように転写は進んでいくのでしょうか?
次の図を見てください。
これは、転写によってDNAからmRNAが合成される様子です。
図の上下に1本鎖DNAが描かれています。
上の1本鎖DNAは左が5'、右が3'です。
下の1本鎖DNAは左が3'、右が5'です。
DNAの複製の場合、2つの1本鎖DNAをそれぞれ鋳型として2つの2本鎖DNAを合成していましたね。
しかし、転写の場合は、1つの1本鎖DNAのみを鋳型として使うのです。
図では、下に描かれた1本鎖DNAを、鋳型として使っています。
鋳型として使われる1本鎖DNAは、プロモーターとよばれる塩基配列をもっていることが特徴です。
図を見ると、下に描かれた1本鎖DNAの左端が濃く塗られています。
この部分が、プロモーターです。
また、鋳型として使われる1本鎖DNAを、アンチセンス鎖といいます。
一方、1本鎖に乖離はしたものの、転写には使われない1本鎖DNAをセンス鎖といいます。
図では、上に描かれた1本鎖DNAがセンス鎖、下に描かれた1本鎖DNAがアンチセンス鎖です。
RNAポリメラーゼがアンチセンス鎖からRNAを合成
転写は、アンチセンス鎖を鋳型として行われます。
RNAポリメラーゼという酵素が、プロモーターを認識してそこへ結合します。
図ではまず、アンチセンス鎖の左端にRNAポリメラーゼが結合するのです。
DNAの複製においては、DNAポリメラーゼという酵素が、DNAの複製を行いました。
RNAポリメラーゼも同じように、DNAからmRNAを合成する働きをします。
ポリメラーゼとは、DNAを鋳型として何らかの核酸を作る酵素だということですね。
DNAポリメラーゼは、鋳型となる1本鎖DNAを3'から5'へ移動する性質がありました。
RNAポリメラーゼも同じように、アンチセンス鎖を3'から5'へ移動します。
図で、アンチセンス鎖上に描かれた丸い構造物が、RNAポリメラーゼです。
図では、RNAポリメラーゼが右方向(3'→5')へ進んでいますね。
RNAポリメラーゼは、アンチセンス鎖の塩基配列を読み取りながら3'から5'へ進んでいきます。
そして、アンチセンス鎖に対して相補的なヌクレオチドを次々と合成し、1本鎖のmRNAを作っていくのです。
図では、RNAポリメラーゼがmRNAを合成しつつ、5'側へ進んでいる様子が描かれています。
DNAを複製する場合、鋳型となる1本鎖DNAと複製された1本鎖DNAは水素結合を形成して2本鎖になりました。
しかし、今回はDNAとは別の物質が合成されているので、mRNAはアンチセンス鎖から逸れたようなかたちで描かれています。
また、mRNAは5'→3'の方向で合成されています。
RNAポリメラーゼの移動方向と、mRNAの合成方向は逆であることにも注意しましょう。
なお、転写は原核生物にも真核生物にも共通しているメカニズムです。
特に、真核生物は、核内で転写を行っています。
転写のメカニズムについてしっかりおさえましょう。
転写について、詳しく見ていきましょう。