5分でわかる!濃縮率
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この動画の要点まとめ
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タンパク質・グルコースの濃度が示すのは?
下の表は、ヒトの体の血しょう・原尿・尿に含まれる、それぞれの成分の割合を示したものです。
まず、 タンパク質 を見てみると、血しょうには8%含まれているものの、原尿と尿は0%でまったく含まれていないことがわかります。これはなぜでしょうか? 血液は糸球体でろ過されてボーマンのうへとうつり、原尿となりますよね。実はタンパク質は、糸球体にあるろ過の穴よりも大きい粒子なので、糸球体が正常に働いている状態では、原尿と尿には含まれないのです。
次に、 グルコース に注目しましょう。血しょうと原尿には0.1%含まれますが、尿は0%で含まれていないことがわかります。尿生成のプロセスを思い出しましょう。グルコースは生物にとってのエネルギー源で、原尿が腎細管を通るときにすべて再吸収されるのでしたよね。
濃縮率は(尿濃度)÷(血しょう濃度)
表の成分のうち、 ナトリウム・尿素・イヌリン の3つは、血しょう・原尿・尿のすべてに含まれていますね。
この3つの成分については、 濃縮率 を計算することができます。濃縮率とは、 血液から尿に変わるに当たって、どれくらい濃縮されたのか を示す値です。 (尿濃度)÷(血しょう濃度) で、濃縮率の値を求めることができます。
計算公式を利用すると、ナトリウムの濃縮率は0.32÷0.31≒1(倍)、尿素の濃縮率は2÷0.03≒67(倍)、イヌリンの濃縮率は0.12÷0.001 =120(倍)だとわかりますね。
濃縮率から「体にとっての必要度」がわかる
ナトリウム・尿素・イヌリンの3つの成分のうち、特に注目してほしいのは イヌリンの濃縮率 です。
イヌリンは植物由来のもので、動物の体内では生成されない成分です。動物の体にとっては不必要なものなので、摂取したとしてもまったく吸収されず、尿として排出されます。腎細管、集合管で水分のほとんどが再吸収される一方、イヌリンはまったく吸収されないのでギュッと濃縮されます。数字を見てみると、血しょうが0.001に対して、尿は0.12になっており、120倍に濃縮されていますね。
また、ナトリウムと尿素の濃縮率は、それぞれ1倍と67倍です。イヌリンよりも、ナトリウムと尿素の方が再吸収される割合が高いのは、水分同様に再吸収されているからです。それだけ体にとっては必要な成分であることがわかりますよね。つまり、 濃縮率の数値を比較することにより、「体にとっての必要度」をはかることができる のです。
病院では、このような数値を調べることにより、「体にとって不足している成分」などがわかり、治療に生かしていけるのですね。
血しょう、原尿、尿に含まれる成分の濃度から何がわかるのかを学習していきましょう。