ポイントの3つ目は「諸子百家の登場」です。
春秋・戦国時代の混乱期を迎えた中国では、
国の在り方や人びとの生き方に関する新しい思想 が登場しました。
それらの思想をまとめて 諸子百家 といいます。
どんな人がどんな考え方を持っていたのか、一緒に見ていきましょう。

最初に紹介するのは 儒家 です。
儒家は 孔子 という人物がつくった思想グループで、 仁 と 礼 を重視しました。
仁とは 他人への親愛の情 （つまり 愛情 ）、
礼とは 目上の人に対する敬意 のことです。

儒家は仁と礼を強調し、 秩序正しい社会を作ろうとしました。
孔子の考えは『 論語 』という書物に書かれています。

孔子以外に、儒家で覚えておいて欲しい人物が二人います。
性善説 を主張した 孟子 と、 性悪説 を主張した 荀子 です。

この二人、同じ儒家でも 正反対の考え方を持っています。
孟子の性善説は、 人の本性は善である という考え方です。
荀子の性悪説は、 人の本性は悪である という考え方です。
孟子と荀子、それぞれの考え方をしっかり覚えておきましょう。

続いて紹介するのは 墨家 です。
墨子 がつくった考え方で、 儒家の考え方を批判します。
墨家は 無差別の愛 である 兼愛 と、他国への侵攻を否定する 非攻 を唱えました。

儒家が主張した「仁」は、家族や兄弟など、
自分に近しい人を大切にする 考え方でした。
墨家はこれを批判し、 無差別の愛 である 兼愛 を主張したのです。

続いて紹介する 道家 も、儒家の考え方を批判します。
道家は 人が人として守るべき教え である 道 を追求しました。
代表的な思想家に 老子 や 荘子 がいます。

道家は、儒家の「礼」の教えを わざとらしい、人為的だ と批判します。
人間はなすがままに生きるべきである と主張したのです。
このような生き方を 無為自然 といいます。

最後に紹介するのが 法家 です。
法家は 成文法による統治 を主張しました。
この考え方を 法治主義 といいます。

実はこの法治主義、儒家のところで勉強した 荀子の性悪説 に影響を受けています。
法家の代表的な思想家である 韓非 は 荀子の弟子 だったのです！
韓非は 人の本性は悪なので、ルールによって行動を制限すべきだ と考えたのです。

以上のように、儒家の考え方を基準として、
儒家と敵対する考え方や、儒家を応用する考え方が登場しました。
諸子百家にはいろんな学派がありますが、特に重要なのは今回紹介した4つです。
まずはこの4つをしっかり覚えておきましょう。