ポイントの3つ目は「オリエントの再統一」です。
アッシリア崩壊後、分立した４王国をまとめ、オリエントを再統一した王朝。
それこそが アケメネス朝ペルシア です。
ペルシア人がアケメネス朝を建国した ことから、王朝のあとに「ペルシア」とついています。
都はイラン西南部の スサ に置かれました。
ちなみにペルシア人は イラン人 と呼ばれることもあります。

アケメネス朝を建国したのは キュロス2世 です。
彼は積極的に対外遠征を行いました。
まずはメディアを、続いてリディアを、そして新バビロニアを征服したのです。

新バビロニアを征服したあと、キュロス2世の子どもが エジプトを征服しました。
紀元前525年のエジプト征服をもって、 オリエント世界の再統一 といいます。
こちらを見てください。

斜線で示した範囲が、全盛期のアケメネス朝の領土です。
ご覧の通り、かなり広大な領土を支配していました。
この領土を形成した王を ダレイオス1世 といいます。

ダレイオス１世は、新しい都 ペルセポリス を建設します。
さらに領土をいくつかの州に分け、 知事（サトラップ） を派遣しました。
サトラップは王に直接任命された行政官で、徴税や治安維持を行いました。

ダレイオス１世はさらに「 王の目 」「 王の耳 」と呼ばれる 監察官 を各地に送りこみました。
監察官たちはサトラップを監視し、不正があれば王に報告する仕組みになっていたのです。
また、領土各地に宿舎をつくる 駅伝制 を設け、広大な領土をうまく統治しました。
なかでもスサからサルデスへの道は「 王の道 」と呼ばれる幹線道路でつながりました。

最後にもう１つ、ダレイオス１世の統治が巧みな点があります。
国家の危機につながらない限り 被征服民族に対して寛容な統治を行っていた ことです。
アケメネス朝は高圧的な支配ではなく寛容な統治を行っていたので、
被征服民にとってアケメネス朝の支配下に入ることはそれほど苦ではなかったのです。

アケメネス朝では ゾロアスター教 という宗教が保護されていました。
ゾロアスター教は 火を重視する宗教 なので、別名 拝火教 ともいいます。
そして、ゾロアスター教の経典は『 アヴェスター 』といいます。
こちらを見てください。

ゾロアスター教は 善悪二元論 という考え方をもっています。
善神 アフラ＝マズダ と悪神 アーリマン が戦い続けるという考え方です。
戦い続けるとはいっても、最終的には アフラ＝マズダが勝つ とされています。
これを 最後の審判 といいます。
最後の審判において、アフラ＝マズダを支持していた人はみな救済されるという教えです。

古代オリエントの4回目で学習した ユダヤ教 にも「最後の審判」という考え方がありましたね。
ただ 成立した時期はユダヤ教よりゾロアスター教のほうが先です。
ゾロアスター教の最後の審判（ 終末思想 ）という考えは、ユダヤ教の他キリスト教などにも影響を与えたといわれています。

ポイント３では、アケメネス朝ペルシアのオリエント統一と、ゾロアスター教の特徴について学習しました。
それぞれの内容をしっかり覚えておきましょう。