中2理科

真空放電とは ~真空放電の原理・実験、陰極線の変化~

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この記事は、 「真空放電のしくみがよくわからない」という人に向けて解説 します。
真空放電とはどのような現象なのでしょうか?
また、真空放電の実験は、何を確認するために行うのでしょうか?
詳しい原理や実験の様子を確認しながら、学習していきましょう。

1. ポイント

放電 とは、電気が空間を移動したり、たまっている電気が流れたりする現象です。
特に、放電管というガラス管を真空にし、高い電圧をかけると、電流が流れて管内が光ります。
このように、気圧が低いときに空間を電流が流れる現象が 真空放電 です。

中学の理科では、電子の性質を調べるために、真空放電の実験を行います。
この実験によって何がわかるのか、詳しく見ていきましょう。

2. 真空放電とは

みなさんは蛍光灯の中身をじっくり観察したことはありますか?
蛍光灯の中身は、両端に電極があるだけで、からっぽになっています。
なぜ、蛍光灯は光るのでしょうか?
次の図を見てください。

テスト記事 中2 理科5 真空放電

蛍光灯と同じような形をした放電管というガラス管に電極をつなぎ、管内の空気を抜いていきます。
そして、電極Aと電極Bに高い電圧を加えると、図のように光っている部分が見られ、放電が起こります。
このように、気圧が低いときに空間に電流が流れる現象を、 真空放電 といいます。

真空放電をしているガラス管内に蛍光塗料などをぬると、明るく発光します。
蛍光灯は、このようなしくみで明るく光るのです。

ココが大事!

真空放電とは、気圧が低い空間に電流が流れる現象

3. 陰極線とは

真空放電が起こるとき、放電管内を光らせる電流のことを 陰極線 といいます。

テスト記事 中2 理科5 真空放電

陰極線の正体は、マイナス極からプラス極へと流れる 電子 の流れです。
電流は、電子がマイナス極からプラス極へと移動することで発生すると言えますね。

ココが大事!

陰極線は、放電管内の電子の流れ

4. 真空放電の実験

真空放電について実験を行い、陰極線の性質を調べてみましょう。
次の図を見てください。

テスト記事 中2 理科5 真空放電練習問題

これは、蛍光板の入った真空放電管に高い電圧を加え、蛍光板が光っているようすです。
この光っている線のことを陰極線といいましたね。

さて、ここで電極Cをプラス極、電極Dをマイナス極として電圧を加えます。
すると、陰極線が、 プラス極である電極Cのほうに曲がる のです。
つまり、電子はプラスの電気に引かれているわけです。
このことから、陰極線の正体は、 マイナスの電気 を帯びたものであることが分かります。

陰極線の発見後、イギリスのトムソンは陰極線について研究しました。
その結果、「陰極線はマイナスの電気を帯びた小さな粒の流れである」ということを発見しました。
この粒がやがて、 電子 と名づけられるのです。

ココが大事!

電子は、マイナスの電気を帯びている

映像授業による解説

動画はこちら

5. 【問題と解説】 真空放電・陰極線

みなさんは、陰極線について理解することができましたか?
最後に簡単な問題を解いて、知識を確認しましょう。

問題

図のように、蛍光板の入った真空放電管の電極Aと電極Bに高い電圧を加えると、電流の道筋に沿って、蛍光板が光った。
これについて、次の問いに答えよ。

テスト記事 中2 理科5 真空放電練習問題

(1) 図のような光の線を何という?
(2) 図の真空放電管に、電極Cをマイナス極、電極Dをプラス極として電圧を加えた。蛍光板の光っている部分はどうなる?
(3) (1)が帯びている電気は、プラスとマイナスのどっち?
(4) イギリスのトムソンは、「(1)は、(3)の電気を帯びた粒子の移動である」ことを見いだした。この小さな粒子を何という?

解説

(1)
真空放電が起こると、電極から電極へと電流が流れます。
このような、真空放電管内で光った道すじを 陰極線 といいます。

(答え) 陰極線

(2)
陰極線の特徴を思い出しましょう。
陰極線とは、マイナス極からプラス極へと流れており、マイナスの電気を帯びていました。
よって、プラス極へと引き寄せられる性質をもっています。
そのため、陰極線はプラス極である電極Dがある 下に曲がる のです。

(答え) 下に曲がる

(3)
(2)で解説したとおり、陰極線が帯びている電気は、 マイナス です。
そのため、陰極線はプラス極へ引き寄せられる性質をもっています。

(答え) マイナス

(4)
イギリスのトムソンは、陰極線の正体を突き止めた人物です。
陰極線は、マイナスの電気を帯びた粒子の流れでした。
この粒子のことを 電子 といいます。

(答え) 電子

6. Try ITの映像授業と解説記事

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