「これだけはおさえよう！」のコーナーです。再読文字「宜」について 重要ポイント をお伝えします。ですが、まずはその前に、読み方と意味を復習しましょう。

「宜」の読み方は 「よろしく～べし」 。１回目は右側で「よろしく」と読み、２回目は左側で「べし」と読みます。意味は 「～するのがよい」 でしたね。「これだけは必要だ！」という強い表現です。それでは、読み方と意味をふまえて、２回読む練習をしてみましょう。

まずは右の「宜言」から。
１回目の「宜」は 「よろしく」 と読みます。２回読むためには返り点が必要です。１字だけ返るので レ点 が使われています。２回目は 「べし」 と読むんでしたね。読み方は 「宜しく言ふべし」 となります。

次に真ん中の「宜伝」。
「宜」は再読文字なので、１回目は返らず 「よろしく」 と読みます。２回目は返ってから 「べし」 と読みます。文全体では 「宜しく伝ふべし」 となります。

最後に左の「宜在」。
「宜」は再読文字なので２回読みます。まずは右側の 「よろしく」 を読んで、２回目は助動詞の読み方で 「べし」 。１字返って読むのでレ点がついています。読み方は 「宜しく在るべし」 となります。

意味はいずれも 「～するのがよい」 です。例文は右から順に 「言うのがよい」「伝えるのがよい」「あったほうがよい」　という訳になります。

以上、「宜」の読み方「よろしく～べし」と意味「～するのがよい」は理解できましたか？それでは、おさえておきたい重要ポイントをお伝えします！

他の再読文字でも「べし」と読むものがありましたね。その時と同じです。「宜」の重要なポイントは 「～べし」の直前は基本的に終止形！ 例文で使われていた動詞の活用表を確認しましょう。

右から確認しましょう。まずは「宜言」の 「言ふ」 という動詞です。
終止形は「言ふ」 なので、「べし」の前でも「言ふ」となり 「宜しく言ふべし」 となります。

次は「宜伝」の 「伝ふ」 。
「伝ふ」の終止形は「伝ふ」 ですね。「べし」の前でも「伝ふ」となり 「宜しく伝ふべし」 となります。

最後に「宜在」の 「在り」 。
「在」の終止形は「在り」ですが、書き下し文では「在る」と読んでいますね。「当」や「須」で学んだことを覚えていますか？「べし」の直前が ラ行変格型 だったら、終止形ではなく 連体形 にするのでしたね。基本は終止形、ラ変型は例外的に連体形です。ここでも「在り」はラ行変格活用なので、終止形の「在り」ではなく 連体形の「在る」 を使って 「宜しく在るべし」 となっています。

「宜」について、読み方 「よろしく～べし」 と、意味 「～するのがよい」 をおさえました。そして 「～べし」の直前は終止形、直前がラ変型のときは連体形 というポイントも紹介しました。以上をふまえて、練習問題に取り組みましょう！