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中1理科

地震の伝わり方 ~初期微動と主要動、P波とS波のちがい、初期微動継続時間とは~

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この記事は、 「初期微動と主要動のちがいがわからない」という人に向けて解説 します。
実は、地震によるゆれには、大きく2つの種類があります。
定期テストや入試にもよく出題されるテーマなので、問題を解きながら、わかりやすく解説していきます。

1. ポイント

地震が発生すると、ゆれが地表を伝わっていきます。
このゆれは、初期微動と主要動に分けることができます。

初期微動 は、地震のはじめに起こる小さなゆれです。
主要動 は、初期微動に続いて起こる大きなゆれです。

ただし、この2つのゆれについては、言葉だけを覚えていても、テストで点は取れません。
2つのゆれを表すグラフに注意しながら、きちんと学習していきましょう。

2. 初期微動と主要動のちがい

一般的に、地震が起こると、最初は小さなゆれが、続けて大きなゆれが起こります。
みなさんの中には、地震が起こったときにこのことに気がついた人もいるかもしれませんね。

最初に起こる小さなゆれを、 初期微動 といいます。
また、続けて起こる大きなゆれを、 主要動 といいます。

次の図を見てください。
これは、地震のゆれを 地震計 という機器で計測したグラフです。

テスト記事 中1 理科8 地震計の記録

最初のAの期間では、あまりゆれが大きくありませんね。
この小さなゆれが 初期微動 です。
それに対して、Bの期間は大きなゆれが起こっていますね。
この大きなゆれが 主要動 です。

初期微動に続けて主要動が起こります。
また、初期微動はゆれが小さく、主要動はゆれが大きいことがわかりますね。

ココが大事!

初期微動は、地震の最初に起こる小さなゆれ

主要動は、初期微動に続けて起こる大きなゆれ

3. P波とS波のちがい

地震が起こると、初期微動と主要動という2種類のゆれが起こります。
実は、これらのゆれは、震源から発生するある波によって引き起こされるのです。

初期微動を引き起こす波を、 P波 といいます。
この場合の「P」とは、「primary(最初の)」という意味です。
一方、主要動を引き起こす波を、 S波 といいます。
この場合の「S」とは、「secondary(二次的な)」という意味です。

テスト記事 中1 理科8 地震計の記録

ポイントは、S波よりP波の方が、地面を速く伝わるということです。
そのため、P波の方が先に伝わり、初期微動を引き起こしているわけですね。

ココが大事!

初期微動を引き起こすP波

主要動を引き起こすS波

映像授業による解説

動画はこちら

4. 初期微動継続時間とは

ここでもうひとつ、地震に関する用語を紹介しておきます。
初期微動が続く時間のことを、そのまま 初期微動継続時間 といいます。

ここで大事なポイントがあります。
実は、 初期微動継続時間は、地震の観測地点によって異なる のです。
次のグラフは、4つの観測地点で、同じ地震を観測した結果を表しています。

テスト記事 中1 理科8 震源からの距離と初期微動継続時間

下にある地点ほど震源に近く、上にある地点ほど震源から遠いことがわかりますね。
それぞれの初期微動継続時間に注目してください。

初期微動継続時間は、震源に近い地点では短く、震源から遠い地点では長くなっていますね。
なぜこのような違いが生じるのでしょうか?

実は、初期微動を引き起こすP波と主要動を引き起こすS波が、地面を伝わる速さのちがいが関係しています。
P波はS波よりも速く伝わります。
そのため、震源からの距離が遠い地点ほど、P波とS波が到着するまでの差が大きくなるのです。

わかりやすいように、 徒競走 を例に考えてみましょう。
足の速いP君と足の遅いS君が、 50m走 をしたとします。
足の速いP君のほうが、先にゴールしますよね。

では次に、P君とS君が 100m走 をしたらどうでしょう?
もちろん、足の速いP君が先にゴールします。
しかし、二人がゴールするまでの時間の差は、50m走のときよりも長くなりますね。
距離が長くなればなるほど、差が広がっていくイメージです。

これと同様に、初期微動継続時間も、震源からの距離によって変わってくるのです。

ココが大事!

震源から遠くなるほど、初期微動継続時間は長くなる

映像授業による解説

動画はこちら

5. 【問題と解説】 初期微動と主要動の違い

みなさんは、初期微動と主要動のちがいについて理解することができましたか?
最後に簡単な問題を解いて、知識を確認しましょう。

問題

次の図は、ある地震を地震計で記録したものである。

テスト記事 中1 理科8 地震計の記録

(1)Bの部分はあとから起こる大きなゆれを示している。このゆれを何という?
(2)Aのゆれを引き起こす波を何という?
(3)初期微動継続時間が長くなるのは、震源から近い場所?遠い場所?

解説

(1)
地震のゆれは、2つに分けることができました。初期微動と主要動です。
最初に起こる小さなゆれを初期微動、続いて起こる大きなゆれを主要動といいます。
Bの部分は、あとから起こる大きなゆれです。
よって、このゆれは 主要動 です。

(答え) 主要動

(2)
初期微動と主要動は、それぞれある波によって引き起こされました。
初期微動はP波という速度が速い波によって引き起こされます。
主要動はS波という速度が遅い波によって引き起こされます。
Aのゆれは初期微動ですから、これは P波 によって引き起こされます。

(答え)P波

(3)
初期微動継続時間とは、P波が届いてから、S波が届くまでの時間のことでした。
ポイントは、S波よりも、P波の方が速く伝わるということでしたね。
そして、 震源から遠くなるほど、初期微動継続時間は長くなります。
これは徒競走のイメージでしたね。

(答え)遠い場所

6. Try ITの映像授業と解説記事

「地震」について詳しく知りたい方はこちら

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